ティント・デ・ベラーノ
スペイン・グラナダにある「アルハンブラ宮殿」で飲んだ「ティント・デ・ベラーノ(Tinto de Verano:夏の赤ワイン)」が最高でした。スペイン南部でポピュラーな「夏のワイン」です。作り方は簡単。氷を入れたグラスに赤ワインを注ぎ、炭酸水で割るだけ。赤ワインの量はお好みです。美味しくて夏にぴったり。日本に戻っても、アルハンブラ宮殿を思い出しながら、毎日こればかり飲んでいました。
タパス
スペインで美味しい食べ物といえば、タパスです。いろいろな美味しいものが少量お皿に載って出てきて、それを肴にワインやビールを飲むというもの。スペイン版「おばんさい」というところでしょうか。美味しいなあと思ったのはイカの唐揚げやソーセージですが、一番はなんといってもニシンの酢漬けですね。お店ごとに工夫がありますが、私の入ったお店では、ニシンがポテトチップスの上にのってきました。
オランダのご馳走
オランダで食べる楽しみなのが、まずはハルニシン。新鮮な生のニシンを塩漬けにして玉葱などで和えたものが、スタンドで売られます。日本にはない美味しい食べ方です。パンに挟んでサンドイッチやハンバーガー風にしても美味です。
そして、オランダでもう一つ思い出深いのは、かつてオランダの植民地だったインドネシアの料理です。
サテ(焼鳥のようなもの)やナシゴレン(目玉焼やいろんな具ののったチャーハン)などとても美味しいのです。その理由は、インドネシアが独立してからも国に戻らなかったネイティブの皆さんが作っているから。なるほど納得の味わいです。
湯豆腐と石庭
京都に行くと必ず龍安寺に寄って、石庭と池を見て回り、その帰りに必ず湯豆腐を食べることにしています。寒い時期は当然美味しいのですが、夏の暑いときも思いがけない旨さです。クーラーの効いた畳の部屋で、熱い湯豆腐というのも奇妙な取り合わせですが、なかなか良いものです。是非、龍安寺に行かれたら立ち寄ってみてください。
宇治の抹茶とくずもち
電車を降りて、京都・宇治の平等院鳳凰堂にたどり着くまでの参道には、老舗のお茶のお店がたくさん並んでいます。どのお店からも美味しい抹茶の香りが漂います。そんな香りに誘われて、老舗の一軒ののれんをくぐり、抹茶とくずもちで一服。胃の腑に抹茶の味が染み渡り、ゆったりとした時間を過ごせました。京都へお出かけの際は、紫式部の世界に思いを馳せながら、抹茶を味わうことをお薦めします。
南茅部町のイカ刺し
今年の夏、ひさびさに南茅部町の親戚の家で、イカ刺しをごちそうになりました。私が好きなのは朝漁れたてのイカの耳の部分。漁れたてのイカは、透明で美しいのですが、耳は茶色い色が混じっています。それがコリコリとした実に味わい深い旨さなのです。ちなみに刺身の細さも大事な要素で、太いイカ刺しは食感がよくありません。
最後に忘れてはならないのが山わさび。山わさびをつけて醤油を垂らしたイカ刺しを熱々のご飯の上にのせていただきます。もうそれだけで、ご飯が何杯でもいける極上の逸品です。
美術館、博物館のレストラン
欧州の美術館や博物館の中には、美味しいレストランがある。すばらしい展示物に感動したあとはその余韻に浸りながら美味しいレストランで食事をするのが良い。
少々値段がはるが、すばらしい思い出には変えられない。ルーブル美術館や、大英博物館のレストラン等もなかなか良い。特にロンドンのモダン・ミュージアムは、味もさることながら眺めが最高だ。テムズ川の往来とミレニアム橋を眺望でき、さらに、その橋の前方にはセントポール寺院も見ることができる。
善光寺のお焼きと信州味噌の焼きおにぎり
善光寺参りをして、表参道で食べた「お焼き」が忘れられない。寒い秋の日、表参道の出店をそぞろ歩きながら、お焼きと焼きおにぎりをほおばる。お焼きは肉まん風で、中味が「野沢菜」になっているふかしもの。焼きおにぎりは「信州味噌」が塗ってある。ともに信州を代表する名物。やはり名物はご当地で食べるのが一番美味しい。
炉端とザワークラウト
釧路といえばやはり炉端が最高だ。大きな北寄貝、牡蠣、ホッケなどが良い焼き加減で出てくるのを、演歌を聴きながらちょっと薄暗い店内でおでんを食べながら待つ時間がまた良い。駅前にある馴染みの店に行くようになったのは、駆け出しの頃だった。先輩弁護士と刑事事件で釧路刑務所に出張尋問にいった時に先輩弁護士に連れて行ってもらったのが最初である。その後、日弁連公害環境委員会で湿地調査に行った際、メンバー約10名で押し寄せ、お店にある魚を全部平らげてしまったという思い出がある。美味しいものを現地で食べるのはこの上のない幸せだ。
ドイツには日弁連公害環境委員会で何度も調査にでかけたこともあり、ドイツ料理は忘れない味だ。東京に行った時は、ちょっとリッチに六本木にあるドイツ料理の店に時々訪れる。テニスプレーヤーの伊達公子さんやメルセデスベンツの現地法人社長が来店した時の写真が飾ってある店内には、本場ドイツのビールが樽で取り寄せられている。ここではザワークラウト(Sauerkraut)というキャベツの漬物(乳酸菌発酵しているので酸っぱい)を添えた肉料理をドイツワインで楽しむ。こちらは美味しいものを現地で食べられない代償だが、もしかしたら、ドイツで食べるドイツ料理より美味しいかもしれない。
白ワインとカラス貝のスープの味が忘れられない
ウィンブルドンテニスを観た後、夜行列車でロンドン・パディントン駅からイギリス本島の西の外れにあるセントアイヴスまで向かった。セントアイヴスは、バーナード・リーチ、バーバラ・ヘップワース、ヴァージニア・ウルフなどの芸術家で有名な町だ。漁師の家だった家屋が徐々に芸術家のアトリエになっていった。屋根の上に黄色い苔が蒸しているので、町全体が黄色いイメージだ。
初日、美術館のレストランから黄色い屋根を眺めながら飲んだ1杯数ポンドの白ワインは最高の味だった。よほどいい顔をしていたのであろう。隣の席の家族連れの英国の男性が、写真を撮ってやろうかと言い出してきたほどである。
セントアイヴスのパドゥンホテルで食べたカラス貝のスープも忘れられない。食べても食べても白いスープの下から貝が出てくるのである。オーシャンビューを眺めながらの貝のスープは最高だった。セントアイヴス線はわずか10分程度のローカル線ながら、イギリス最高の景観と言われる路線だけのことはある。もう一度、機会があったら訪れてみたい。