コラム

2020.11.20

白ワインとカラス貝のスープの味が忘れられない

ウィンブルドンテニスを観た後、夜行列車でロンドン・パディントン駅からイギリス本島の西の外れにあるセントアイヴスまで向かった。セントアイヴスは、バーナード・リーチ、バーバラ・ヘップワース、ヴァージニア・ウルフなどの芸術家で有名な町だ。漁師の家だった家屋が徐々に芸術家のアトリエになっていった。屋根の上に黄色い苔が蒸しているので、町全体が黄色いイメージだ。
初日、美術館のレストランから黄色い屋根を眺めながら飲んだ1杯数ポンドの白ワインは最高の味だった。よほどいい顔をしていたのであろう。隣の席の家族連れの英国の男性が、写真を撮ってやろうかと言い出してきたほどである。
セントアイヴスのパドゥンホテルで食べたカラス貝のスープも忘れられない。食べても食べても白いスープの下から貝が出てくるのである。オーシャンビューを眺めながらの貝のスープは最高だった。セントアイヴス線はわずか10分程度のローカル線ながら、イギリス最高の景観と言われる路線だけのことはある。もう一度、機会があったら訪れてみたい。