コラム

2020.11.21

弁護士&法律事務所の選び方

法律事務所の規模にもいろいろある

「大きいことは良いことだ♬」「隣の車が小さく見えま~す!」
チョコレートや車の大きさを訴える懐かしのテレビCMを覚えているだろうか。今も「30g増量」「多機能搭載」という宣伝文句をよく見かける。とかく、大きいことは、良いことだという思いが人にはあるようだ。
では、法律事務所はどうか。東京には渉外事務所といって国際取引を中心とした弁護士が100人以上いる事務所がある。札幌にはそのような渉外事務所はないが、それでも弁護士を10名以上そろえている事務所もあるし、数名の弁護士の事務所もある。もちろん、1人事務所もある。
私も勤務弁護士を3名雇用して、事務員合わせて10名近い事務所規模を誇っていたこともあるので、大所帯の事務所と1人事務所の長短はよく分かっているつもりだ。

小さな事務所のメリットデメリットとは

大所帯の事務所では、弁護士の数が多く、いつでも相談に乗ることができるし、手の空いた弁護士がすぐに仕事に当たることができるというメリットがある。また、それだけの弁護土を抱えることができるということは、対外的な信用力があることの裏付けになっている。
一方、1人事務所の良いところは、事務所の看板を背負っている弁護士自身が事件を担当し、その弁護士と信頼関係を結べるところにつきると思う。大所帯の事務所では、看板に出ている弁護士が事件を担当することになるかは不明である。場合によっては、担当弁護士が事務所移籍となって変更になることもある。
ただ、1人事務所を選ぶのは勇気がいることでもある。「大きいこと」による信用の裏付けが無いからだ。だから、1人事務所を選ぶ場合には、十分にその弁護士を吟味する必要がより一層あると思う。私の依頼者の方の中には、事務所に自分1人しか弁護土はいないと分かっていても、「先生自身が担当してくれるのですね?」と、念を押してくる方も多い。

時代劇と裁判

ちなみに、事件に関わって、相手方に大所帯の法律事務所がつくことがあり、精神的に圧倒されると感じる依頼者も少なくないが、弁護士同士の戦いは、剣豪の戦い方に通じるものがある。時代劇で剣豪が生き延びるのは、どんな大人数が相手であっても、結局勝負は一対一となるからである。西部劇のようにマシンガンで攻撃されてしまえばすぐに蜂の巣にされるが、チャンバラではそういうわけにはいかない。大型えん罪事件でもない限り、数多くの弁護士が関わっても結局事件を主に担当していくのは1人である。だから全く気に病む必要は無い。要するにどの事務所と対決するかが問題では無く、どの弁護士と対決するのかが問題ということだからである。