鉄道は“人生と運命”が似合う
バスや船、飛行機と鉄道の決定的な違いは、終着駅があることと、レールの上を走ることである。このことが鉄道に人生や運命を重ねているのだろう。レールの上を走って終着駅を目指す列車に、我々は人生を感じるのである。どこでも自由に移動できるタクシーでは、なかなか人生を感じることができない。
歌も映画も“鉄道”の舞台がお好き
歌謡曲も鉄道を舞台にした名曲が多い。奥村チヨの「終着駅」、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」、太田裕美の「さらば、シベリア鉄道」等々多数。バスが出てくるのは、ペドロ&カプリシャスの「ジョニーへの伝言」、船が出てくるのは森昌子の「せんせい」など少数派だ。
映画も同じこと。「砂の器」で主人公の音楽家が幼い時、父親と別れるシーンは、亀嵩駅でなくてはならなかったし、映画「悪魔の手毬唄」や「犬神家の一族」でもラストシーンは駅舎だった。
人と人の距離が近かった“駅舎”
昔、駅舎には待合室があった。乗客は、そこで列車の出発の時間をずいぶんと長く待たされたものだ。荷物がたくさん入った風呂敷をかつぐ人、駅弁を広げる人、新聞紙を身体にかけて寝ている人、いろいろな人の人生が交錯していた……。人と人との距離が本当に近かったような気がする。
鉄道がなければ……
高校時代は手稲駅から札幌駅まで汽車(どういうわけか札幌では今でも「汽車」といいます)通学していた。今より、鉄道の本数が少なく、よく駅のホームで待ったものだ。その待ち時間を利用して、読書三昧。待ち時間がなかったら読書しなかったかもしれない。今でも鉄道の旅に読書は欠かせないものとなっている。
海外一人旅に鉄道は外せない
私は海外に出かけると必ず鉄道に乗るようにしている。外国の人に囲まれて、車窓を眺めていると、異邦人になって自分の人生をじっくり考えることができるからだ。
趣味の海外一人旅も、実は観光よりも列車で人生について考えることが一番の目的かも知れない。