コラム

2020.11.21

挨拶をめぐるあれこれ

日本人同士は愛想が悪い?

海外の人から日本人はよく愛想がいいと言われる。
しかし、国内線を利用して飛行機から降りるとき、客室乗務員の美しい女性が挨拶をしていても、ほとんどの乗客が無表情でというよりむしろ不機嫌そうに通り過ぎていく。同じ光景はJRでグリーン車を利用して、目的地に着いたときも同じだ。レストランで食事をした時も、けっしてお店の人には、おいしかったとは言わない。
ところが、国際線で外国の航空会社で出かけたときは、目的地に着くと、日本人の乗客は笑顔で挨拶を交わして降りていく。
外国のホテルのエレベーターでも同じだ。海外に行くと、朝エレベーターに乗って知らない人と乗り合わせても、必ず現地の言葉で「おはよう」と声をかけてくる。一方国内のホテルではそのような光景にお目にかかることはまずない。道を聞いてきて、お礼を言わないで行ってしまう人も多い。

挨拶は敵意がないことの証し?

海外ではちょっとでも相手に触れると相手は謝ってくる。国内では、人の体にぶつかろうとお構いなしで、われ先に地下鉄に乗り込む人が多い。
日本人のこのような特徴について、日本人同士は民族性や歴史的に統一性があり、互いに信頼関係があるから挨拶は不要なのだという人がいる。
日本のように相互の信頼関係が厚い国では、やたらと挨拶をする人はかえって警戒され、海外では逆にお互いに挨拶をして、敵意を持っていないことを示す必要があるというのだが、的確な指摘だと思う。

失われていく信頼関係

しかし、最近次々に起きる凶悪な事件の数々を見ると、互いに信頼関係があるとは到底思えない国になっている。(私の身近にある裁判所の中で刃物を振り回す男が現れたくらいだ)。
だから、もうすぐ日本でも、自分が危険でない人物であることを示すために、笑顔でだれとでも挨拶を交わせねばならない時代が来るかもしれない。